「食」に関わる企業の先行き~店舗運営の厳しさ

ちまたで悪評を囲うブラック企業。多くは飲食店を含む外食産業がそういったターゲットとなっています。では、そこで働く人達はそういった事実を知っていながら何の行動も起こせないという訳でしょうか?また、近頃は働く行き先がそういったブラック企業系しかいけない中高年ニートなる存在まで出てきているようです。

否が応でも店舗展開をするうえでブラック的な仕事をさせざるを得ない事情は何なのか?少し、考えてみたいと思います。

熾烈な価格競争が経営により効率化を追い求める

飲食業界というのは人間が生きて行く上で必ず必要な「食べる物」を提供してくれる業界です。ですので人間の産業活動があり続ける限り、無くなってしまうという事は、まず、考えられない業界なのです。

日本がまだ戦後から復旧していく時期においては色々な物が不足していたため、飲食業界も御多分に漏れず生産できるものがその恩恵を受ける事ができました。

とにかく、食べていかない事には人間は生きていけません。終戦当時は極度の栄養失調などで幼児期に命を落としてしまうといった悲しい現実がまだありました。そういった事を繰り返さないためにも私たちの先人は知恵を絞り時間を惜しんで「美味しいものを安く食べれる世の中を作りたい」という大スローガンの元、日夜、頑張ってきたのです。

ところが時代は重ね、日本の生産人口が減少し始めた頃から様相が一変してきます。それまで大量生産で安く作ってきたものが売れなくなってきたのです。同時に海外からも味や品質は落ちても普通に食卓に並べてもなんら遜色のない食品が大量に食品スーパーの店頭に並ぶようになりました。それと時を同じくして外食産業も業務形態の変革を求められ始めます。

物価が上がるのに所得が上がらないインフレ経済から更に追い打ちをかけてバブル経済の崩壊、最近ではリーマンショックによる起業の倒産の大量発生時代を迎えます。正社員たちに遠慮のないリストラの嵐が吹き、新卒者たちも全うな就職先がないという異常な時代がやってきました。

皆、少ない所得で何とか切り詰めて日々の生活を乗り切るしかありません。当然ながら「食」の世界にもより厳しい「価格破壊」の波が押し寄せてくるわけです。

食うか食われるかの熾烈な過当競争

消費者にとっては自分の所得が上がらない訳ですから、節約できる所は節約するしかありません。とくに「食」の世界は贅沢さえしなければそこそこ美味しいものを安く食べる事ができます。

いえ、「出来ました」と言った方がいいでしょうか?この時辺りから各企業の自社努力によって消費者たちは「安いながらも美味しいもの」を利用できる事にコントロールされていくわけです。

それらの急先鋒となったのが「牛丼」であり「ハンバーガー」なわけです。更には「100円寿司」の定着。居酒屋でも「298円均一」店や「食べ飲み放題」の低価格競争がどんどん激化してきています。ファミリーレストランでも1品当たりの低価格化は行き着くところまで行っています。

いずれの企業も企業努力の結果、無駄な経費を絞れるだけ絞って今日まで企業活動を行っている訳です。では、「無駄な経費」とは一体、何でしょう?

人件費のカットはどの企業も避けられない

一般的に言って飲食業界にとってのコストカットで真っ先に名指しにくるのが各食品の仕入れ原価の見直しです。そのために、近年は安い中国産が仕入れの大部分を占めるようになりました。確かに仕入れ先の大幅な変更のおかげで一時とはいえ、居酒屋業界もハンバーガー業界も価格競争を仕掛けて勝ち組と呼ばれるような一部の企業が誕生しました。

しかし、その勢いは続きません。内外で問題が発生し仕入れ先の問題だけではどうしようもなくなってきました。よって同時進行的にでしたが営業時間を24時間制にして売り上げの確保を図る。そして深夜帯の人件費がかさ張らないよう一人だけで店舗運営をさせる。「ワンオペレーション」の誕生です。

どんどん自分の首をしめていく飲食店舗

このワンオペレーションも自らが招いてしまった結果と言えるでしょう。あれだけ低単価で価格競争を強いられれば、経営上、どこかにとばっちりが行ってしまうのは止むをえません。低単価とコストカット。企業が食べる物で利益を上げていくためには果てしないコストの削減をこの先も続けていかなければならないでしょう。

世の中の景気動向がアベノミクスのおかげで全ての国民が満足いく生活水準になったという意識は残念ながら見えません。この先、貧困階層が無くならない限り、飲食業界の果てなき経営努力は続いていきます。

さいごに

日本という国はやっぱり恵まれていると思います。ちゃんと各階層に対応できる食品が店舗にでもスーパーにでも揃っているからです。決して貧困階層をこのまま肯定していってはいけないのですが需要があるところにビジネスチャンスがあるという日本のビジネス感覚はある意味、舌を巻きます。

ただ、正しい利益を企業が内部留保できないようになればいずれまた、大きなうねりがやってくることは間違いありません。本来、「価格」というのは「適正」でなければならないのです。企業が身を削る結果、各種の労働問題や食の安全性がないがしろにされてきてしまっては人間の経済活動そのものが崩壊しかねません。

早く、どこかのタイミングで正常になるよう願いたいものです。

参考:過当競争続く居酒屋業界【ブラック企業の代表格】



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